NEW 源頭部の残地盛り土の安定性について―地区別意見交換会より―

 令和7年6月26日(木)に開催された「逢初川流域復旧・復興事業にかかる地区別意見交換会」の中で、静岡県盛土対策課職員により、「源頭部の残地盛り土の安定性について」説明があった。
 源頭部上流側の「P部盛り土」と呼ばれる箇所について、台風による大雨の影響により、行政代執行後の源頭部下流側の切土法面などに亀裂や小崩落が確認されたことから、新たにP部盛り土の安定性について検証を行い、その結果がまとまったことから、その内容について公表する。というのが、その目的のようだ。
 以前、当時の副知事がP部盛り土については、「安定性の面からは早急に撤去する必要はない」と言ったけれど、大雨が降ったりもするし、心配だから再検証することにしたということだろうか。しかしそこは、産業廃棄物が埋められている違法盛り土だ。安定性だけを理由に早急な撤去を土地の所有者に求めなかった静岡県の対応は、住民としては、正しかったとは思えない。当時、産廃が埋まっていることに対する住民からの不安を訴える声に、「土を被せてあるから大丈夫」と答えた静岡県の担当者の対応が忘れられない。
 担当者が、難しい数式と図で説明して、結果、2次元の円弧すべり解析で安全率が1.4になったので安全ですと説明した。しかしその場にいた住民は、誰1人としてその説明を理解できなかったのではないだろうか。おそらくある程度の知識がなければ、難しい数式も円弧すべりという言葉すら理解できなかったと思う。
一体何のために説明しているのだろう。聞き手が理解しないのを分かっていて、説明しても意味がない。ただ、一応説明はしましたという事実が残るだけである。住民が聞きたいのは、そんなことではない。安全だというならば、もっと具体的に分かり易く説明して欲しいと担当者に言ったら、数字で示すしかないと最初は言っていた。しかし、例えば、地震の時とか、大雨の時など具体的にはどうなのかと質問したところ、
「震度7の地震がきても崩れないし、100ミリの雨が降っても大丈夫。」
という答えが返ってきた。だったら、最初からそう言ってくれれば住民も理解できるのに、わざわざ難しくして説明する意味があるのか。住民が理解するために説明するのではないか。理解してこそ意味があるとわたしは思う。
また、P部には産業廃棄物が埋められていたのである。土壌汚染はないのか。川に有害物質が流れ出てはいないのか。それについても、住民が不安に思っていることは分かっていたはずだ。それなのに質問されなければ答えないのはおかしくはないか。どうなのか聞いたので、今は水質検査の結果では何もでていないと答えてくれた。しかし、将来にわたって安全が担保されている訳ではない。何かあればすぐに対処すると言っていたが、有害物質が出てくるのを待っているというのは、いかがなものだろうか。
今すぐにでも、全ての残置盛り土を撤去してもらいたい。いくら安全だと言われても、住民は残置盛り土がある限り、崩落を恐れ、土壌汚染や有害物質の流出におびえながら、盛り土の下で生きていかなければならない。盛り土より先に人が住んでいたのである。盛り土のせいで、人がそこから他の場所に移るなんてあり得ない。盛り土のつけを住民が払うなどあってはならないと思う。

(参考)令和7年度逢初川流域復旧・復興事業にかかる地区別意見交換会配布資料6 「源頭部の残置盛り土の安定性について」

2025年07月27日|被災地の今:逢初川源頭部