行政代執行 —門扉の行方—

 

 逢初川源頭部の残土撤去の行政代執行が2023年6月に完了した。崩落した盛り土は小田原市の会社が、2006年から無許可や無届で土地の形質変更行為を行い、2007年に静岡県の条例に従い、熱海市に計画の届け出を行ったものであるとされている。当初は、1万㎡未満の土地に約3万6千㎥を盛り土する計画であった。
 しかし、その後も土砂の投棄は繰り返され、着実に積み上がって行った。2011年2月に土地所有権は、現所有者に移動している。その後もこの土地に、投棄者が不明のまま土砂の投棄が行われていた。このため、土地所有者の要請を受け、熱海市が門扉の設置を、修繕工事として12月から行い、翌年1月に完了している。ここでの大きな疑問は、なぜ熱海市が不法投棄を理由に、現所有者の土地に工事費を負担(約100万円)し、門扉を設置したのだろうかということである。私有地の不法投棄を防止するために、行政が公費を投入して門扉を作るなんて聞いたことがない。そして土石流が起こり、静岡県が残った不安定土砂を行政代執行で撤去し、その費用を元所有者に請求している。ここで疑問に思うのは、門扉の撤去費用の請求先である。静岡県はそれを、元所有者に請求している。なぜ元所有者は、既に所有していない土地に、熱海市が設置したものの撤去費用を請求されるのか?門扉の所有権は熱海市にあると、私は思う。これは誰が払うのが正解なのだろうか?

2024年07月03日|被災地の今:逢初川源頭部