「丁張」が突き付けた現実 ―そびえ立つ護岸―

 

 被災者やその周りの住民から、川と道路の計画が分かりにくいとの声が多くあり、令和6年1月、熱海市は実際の新しい川と道路の位置や高さを「丁張」という手法で可視化して、どれだけ護岸が上がるのか、どれだけ現在の宅地が川や道路の計画に掛かるのか一目見て分かるようにした。
 県や市の計画通りの川と道路ができれば、川沿いの宅地はほぼ、道路より低くなってしまう。一番低くなる所は3m20cm低くなる。1階の屋根くらいまで壁に囲まれることになる。それ以外の所でも1~2m道路より低くなってしまう。静岡県の説明によると、川の安全性だけを考えれば、今までと護岸の高さは余り変えなくて済む。だが傾斜のきつい川であるため、市道を横に付けることによって、道路の構造上の問題で、一番高いところで護岸を3m20㎝も高くしなければならない。水は高いところから低い方へ流れる。なぜ、わざわざ宅地の方を低くするのか。大雨が降ったらどうなるのか。護岸が高くなった分、川からは溢れにくくなるだろう。しかし低い宅地側に水が集まり水浸しになってしまうのではないかと、大きな不安を持っている住民は少なくない。「丁張」が突き付けた現実は、あまりにも残酷である。

2024年07月03日|被災地の今:川と道路の現状