静岡県が行った行政代執行による盛り土の安定性
2021年7月3日発生の土石流の起点、逢初川源頭部の盛り土の行政代執行工事(撤去工事)が完了した。2023年3月の砂防堰堤の完成、残る盛り土の不安定土砂の撤去工事により安全が確保されたとして、災害対策基本法第63条による警戒区域が同年9月に解除され、立ち入りが自由にできるようになった。これらの二つの工事は、住民の不安解消に役立ったと感謝したい。今回の行政代執行で残された盛り土は、県の工事により安全性が確保されたように見える。盛り土が崩壊した原因は、県の検証委員会の推定では、一日に1万2500トンあったとされる地下水であるとされている。では、残された盛り土の工事は、一日1万2500トンの地下水があることを想定した設計になっているのだろうか。
答えは、否 この工事は、一般的な斜面の安定解析手法により設計され、盛り土斜面に排水管や排水路を設置して、崩壊の原因となる水を速やかに盛り土外に排出するようにしたものである。これは一見、正論のように思える。しかし、盛り土の崩壊原因は、一日1万2500トンの地下水だったのでは?ではなぜ、その地下水を基に設計をしないのだろうか?あの日と同じ雨がまた降ることがあれば、同じように一日1万2500トンの地下水で盛り土内が満たされるようになるだろう。それが崩壊しないためにはその地下水を排出できるだけの排水施設が必要なのではないだろうか。