岸谷2号線仮開通
令和6年10月1日岸谷2号線が仮開通した。令和3年7月3日に土石流によって壊されてから3年3カ月、住民が待ちに待った日がついに訪れた。住民にとって岸谷2号線はとても重要な道路で、この道が通れないことで車も人も遠回りしなければならなかった。地域は高齢者が多く、特に歩行者はきつい坂道を遠回りするのは、本当に大変だったと思う。
しかし、仮開通である。岸谷2号線上の橋から岸谷本線までは仮設道路である。これから岸谷本線は最も高い所で2m、橋の付近では1m70㎝かさ上げされる。当然道路より宅地の方が低くなる。以前の計画ではもっと道路は高くなる計画だった。しかし、度重なる住民からの要望と、熱海市伊豆山復興まちづくり推進懇話会のメンバーである学識経験者の先生の助言により、当初の計画よりも少し下げられた。
しかし、2mである。家の前に2mの壁ができるのである。おそらく生活環境は悪くなり、生活のクオリティーは下がるだろう。そのリスクを背負うのは、被災者である。被災して2年以上家に戻れず、やっと帰れたと思ったら以前より生活しにくくなる。復興したら生活の質が以前より悪くなる、その状態を復興と呼んでいいのか。一部の被災者が復興のつけを払うのか。
行政には、ハード面の復興の後の、「創造的復興」にばかり思いを巡らせずに、今、目の前にいる住民にもっと目を向けて欲しい。住民が今、何を思い、何に困っているのか。住民が穏やかな生活を取り戻すために何が必要なのか、真摯に向き合って欲しいと思う。