動き出した農地再生
以前農地の再生について「被災地の今」の中で書いたが、8月初旬に市役所の担当者から現地を見たいと連絡があり、立ち会うこととなった。元警戒区域内の他の農地についても順次立ち合いをするということである。
市役所からは、昨年度に制度設計をして根拠となる要綱を作り、補正予算を組んで補助金を出してくれると聞いていた。しかし、年度末になっても動きがなかったので、令和6年3月22日に開催された第2回熱海市伊豆山復興まちづくり推進懇話会で、どうなっているのか質問した。熱海市からの回答は「制度の検討中」ということであった。
元警戒区域の中の商業を営む事業主には既に補助金が交付されていて、漁業についても静岡県から補助金が出たようだ。しかし、小規模な農業者ばかりだったため、市長は施政方針の中で警戒区域内の農地の再生を謳いながら、農業者に対する対応や補助は今まで放置されてきた。
放置された農地は雑草が生い茂っている。猪に荒らされ石積みが崩されてしまった所もある。流れてきた土砂と一緒に良い土までも取り除かれてしまって、このままでは作物は育たない。土石流で壊された石積みを直し、土を入れ替え、以前と同じ状況に回復させたい。より良いものは望まない。以前と同じでいい。
今のうちの畑の状況を傍から見ると、耕作放棄地のように見えてしまっていると思う。しかし、決して耕作放棄地ではない。必ずまたその土地で、自分の手で農業をするという強い意志がある。そこだけは譲れない。先祖代々受け継いできた農地を守る。そして、わたしの息子に引き継いでいく。
熱海市にはこの立ち合いをきっかけに、ぜひとも農地の再生への動きを加速して欲しい。市長の施政方針通りに農地を再生することは、小さいかもしれないが、伊豆山の復興への確実な一歩である。
農地の再生については、その動向について逐一ここで報告していきたいと思う。