地元民にあらず<SATO>

発災後に熱海市のメールマガジンに登録
深夜に警報が鳴って、避難指示も出て
目が覚めて、ああ、雨が多くて通行止めなんだな
熱海の人もこれを聞いている
様子を想像して、むしろ落ち着いた
発災後の原風景の一つ

伊豆山の人はどういう気持ちなんだろう
何が起きたのか理解したいと思いました

地元ではいろんな情報があるのだろうけれど
わたしの知る方法は限られていて
地元紙をネット契約して
市の広報の情報を読んで
静岡県の検証委員会の中間報告書を読んで
それだけでは人の気持ちはわからない

大きな砂防堰堤を作るらしいけれど
残った土砂を全部取り除いて、元の山にもどれば
川を少し直すだけで大丈夫じゃないかと
遠くから考えた
森と腐葉土で安定した良い山だった
子供のころ、台風で大水が出ても水は澄んでいた
でも、地元の人は、大きい堰堤ができたら安心できるし
広い道路が必要なのかもしれない
今現在に住んでいる人が望んでいるなら外から余計なことは言えない

「地元に住んでいない人にはわからない」
「生活再建のないあなたとは違って私たちはたいへん」
「私たちの考えと違う」
そう言われると話しが止まり、溝が生まれる
伊豆山は閉じられたカゴのよう
でも、わかった
なあんだ、地元の被災者でさえも、一人一人みんな想いが違う
主語を小さくしませんか
わたしたちでなく、わたしの考えですよね
そして、お互いの考えを共有することから始めませんか
その一人がたまたま地元の人ではなかっただけですよ

2024年08月18日|声:被災者の声